2010年(平成22年)7月13日から16日までの4日間、東京都千代田区九段北の靖国神社では、東京の夏を代表する
伝統行事「みたままつり」が開催されました。みたままつりは、日本古来のお盆の風習にちなみ、戦没者の御霊を
慰めるために昭和22年(1947年)から続けられている祭事です。靖国神社に祀られる約246万6千柱の御霊に感謝と
慰霊の誠を捧げる行事でありながら、都心で楽しめる夏祭りとしても親しまれ、毎年約30万人もの参拝者が訪れます。
祭り期間中の最大の見どころは、境内を埋め尽くす大小3万灯を超える献灯です。第一鳥居から神門へ続く参道には
約1万灯の大型提灯が掲げられ、夕暮れとともに一斉に灯りがともされます。無数の提灯が作り出す光の回廊は幻想的で、
東京の中心部にいることを忘れてしまうほどの美しさです。また、各界の著名人や文化人、スポーツ選手などが揮毫した
懸雪洞も並び、参拝者はそれぞれの筆致を眺めながら境内散策を楽しみました。
初日の7月13日は、平均気温23.8度、最高気温27.2度、最低気温19.9度と比較的涼しい一日でした。天候は曇り時々雨で、
湿度は79%と高く、祭りの始まりはしっとりとした空気に包まれていました。昼間の境内は人出もまだ少なく、
露店も準備中の店が見られましたが、夜になると提灯が点灯し、幻想的な景色が広がりました。この日は江戸芸かっぽれの
奉納も行われ、江戸の粋を感じさせる軽快な踊りが披露されました。さらに昔ながらの見世物小屋も登場し、昭和の
縁日文化を今に伝える独特の雰囲気が参拝者の関心を集めました。
7月14日は平均気温26.1度、最高気温31.3度まで上昇し、本格的な夏の暑さとなりました。日中は曇り時々晴れで、
前日よりも多くの参拝者が訪れました。夕方以降は境内全体が提灯の灯りに包まれ、昼間とは異なる幻想的な空間へと
変化します。この日の奉納行事では、歌手でありドラマーとしても知られるつのだ☆ひろ氏による奉納演奏が行われました。
平和への願いと先人への感謝の思いが込められた演奏は、多くの観客の心を打ち、みたままつりの厳かな趣旨を改めて
感じさせる時間となりました。
3日目の7月15日は、平均気温28.4度、最高気温31.4度を記録しました。日中は曇りでしたが夕方から天候が回復し、
夜には晴天となりました。この日は夕方に神輿の奉納が行われ、祭りの熱気が一気に高まりました。神輿の威勢の
良い掛け声が境内に響き渡り、多くの見物客が沿道を埋め尽くしました。境内には浴衣姿の若者や家族連れの姿が目立ち、
夏祭りらしい華やかな雰囲気が広がりました。露店では焼きそばやかき氷、焼きとうもろこしなどが販売され、
参拝者は祭りの味覚も楽しんでいました。一方、本殿周辺では静かな祈りの空間が保たれ、賑わいの中にも靖国神社
らしい厳粛さが感じられました。
最終日の7月16日は、平均気温28.5度、最高気温31.9度と4日間で最も暑い一日となりました。天候は晴れ一時曇で、
夜も穏やかな夏空が広がりました。この日の大きな見どころは青森ねぶたの奉納運行です。色鮮やかで迫力ある
大型ねぶたが境内を進む姿は圧巻で、東京にいながら東北の伝統文化を体感できる貴重な機会となりました。
夜には歌謡ショーも開催され、多くの観客が集まり祭りのフィナーレを盛り上げました。
また、祭り期間中には大村益次郎像前で盆踊り大会が開催されました。都内でも比較的早い時期に行われる盆踊りとして
知られ、地域住民や参拝者が輪になって踊る光景は、まさに日本の夏そのものでした。さらに境内には戦没者に
関する展示や特攻隊員の手紙なども紹介されており、華やかな祭りの中にも歴史を振り返り、平和の大切さを考える
機会が設けられていました。
2010年のみたままつりは、慰霊祭としての厳粛な側面と、夏祭りとしての賑やかな魅力が見事に調和した4日間でした。
提灯が織りなす幻想的な夜景、神輿や盆踊りの活気、青森ねぶたの迫力、奉納演奏の感動など、多彩な催しが訪れる人々を
魅了しました。歴史と伝統、そして平和への祈りを感じながら楽しめるみたままつりは、東京の夏を象徴する祭礼として
今なお多くの人々に親しまれています。
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