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2003年8月10日、第16回東京湾大華火祭が東京都中央区の晴海埠頭沖を主会場として開催された。江戸開府400年を記念する特別な年 にあたる本大会では、例年よりも1,000発多い計13,000発の花火が打ち上げられ、過去最多のスケールで実施された。観客動員数は 約72万人に達し、夏の夜空を彩る華麗な花火と東京湾の夜景のコントラストが、多くの来場者の目を奪った。 会場となった東京湾の晴海埠頭沖は、周囲を海と都市景観に囲まれており、レインボーブリッジや東京タワー、近代的な高層ビル群と いったランドマークが見渡せる絶好のロケーションである。湾を活かした開放的な打ち上げ環境のもと、大玉花火として知られる 尺玉(直径約30cm)や、より大きな尺五寸玉(直径約45cm)などが次々に打ち上げられた。特に尺五寸玉は10発打ち上げられ、 そのうち6発は「カムロ」と呼ばれる光が王冠のように降り注ぐ様式であった。 花火の種類も多彩であり、「菊」「牡丹」「柳」「千輪菊」「虎の尾」など伝統的な型に加えて、大小の花火を連続で打ち上げる スターマインや、二方向から同時に打ち上げる「対打ち」など、演出性の高いプログラムが用意された。また、江戸開府400年を 記念した仕掛け花火も復活し、視覚と音響の両面で観客を圧倒した。火薬に含まれる金属成分の違いにより、青、緑、赤、紫、 レモン色などの多彩な色彩が夜空を彩った。 この年の東京湾大華火祭では、花火師の技術と美意識も大きな注目を集めた。中央区の「丸玉屋」とあきる野市の 「ホソヤエンタープライズ」が打ち上げを担当し、伝統と革新を融合させた演出を実現した。丸玉屋はコンピューター制御による 緻密な打ち上げを行い、細やかな時間管理と色彩演出で観客を魅了した。一方、ホソヤエンタープライズは「江戸前の粋」を意識し、 単発花火の一発一発にも情緒を込めた構成を追求した。 当日の天候はまさに「台風一過」と呼ぶにふさわしい快晴で、午後7時時点の気温は28.3度、湿度64%、風速2.0m/s、南の風という 観覧に適したコンディションであった。空気が澄みわたり、花火の音は柳橋にまで響いたとされる。 また、観客輸送にも特別な措置が講じられた。有楽町線の月島・豊洲方面には臨時列車が運行され、千代田線霞ヶ関-桜田門間や 南北線市ヶ谷-有楽町線市ヶ谷間といった普段は旅客列車が通らない連絡線も使用された。鉄道ファンにとっても興味深い運行が 行われた点は特筆に値する。また、臨時快速「お台場花火号」も高尾発新木場行きで運転され、183系車両が使用された。 りんかい線では通常6両編成の運用に代わり10両編成が使用されるなど、大幅な輸送力強化が図られた。 東京湾大華火祭は、都市型の花火大会として国内でも屈指の規模と演出力を誇り、年々その人気と注目度を高めていた。広範な 観覧エリアを活かし、沿岸部や船上からも花火を楽しめる点も特徴である。2003年の第16回大会は、記念年にふさわしい華やかさと スケールで実施され、夏の風物詩として多くの人々の記憶に深く刻まれることとなった。


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