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2023年3月26日の上野恩賜公園は、春の雨が上がり切らない湿り気を含んだ空気に包まれ、夜桜の時刻を迎えても
なお雲が空を覆い続けていました。この日の18時の東京の気象状況は、気温12.1度、湿度100%、風速2.6m/s、
西北西の風、そして曇りであり、空気は重く、夜気には水分が多く含まれていました。湿度が極めて高いことにより、
園内の灯りは光の輪郭が柔らかく滲み、夜桜の風景に特有の幻想的な雰囲気を与えていました。風は強くはなかったものの、
時折吹く西北西の風が枝先を揺らし、満開に近づいた桜の花弁がかすかに揺れ動いていました。
この年の上野恩賜公園では、コロナ禍を経た再整備や新たな取り組みが進められており、特に不忍池からボート池へと
続く園道のライトアップは2023年に初めて実施されました。春のライトアップモデル事業費助成金が活用され、
約200メートルの園道に60台のLEDスポットライトが設置され、60本の桜が一本ずつ丁寧に照らし出されました。
もともと夜間の照明が少なく、暗い印象があったこの区域は、照明によって安全性が向上し、人々が安心して歩ける空間へと
変わっていました。桜の開花に合わせて点灯された光は、雨に濡れた地面に反射し、足元に淡い光の帯を作り、夜桜を
引き立てる立体的な景観を形成していました。
公園の中央園路では、例年通りボンボリが点灯し、約1,000個の灯りが桜並木を優しく照らしていました。2023年は特に、
コロナ禍中に大規模な剪定を受けたソメイヨシノの姿が大きく変わっており、かつての桜のトンネルは失われていました。
短くまとめられた枝ぶりは、以前の迫りくるような枝張りとは異なり、整えられた盆栽のような印象すら与えていました。
そのため、枝を大きく広げることができなくなった樹々は、光に照らされながら控えめに花を開かせ、従来とは異なる
静けさを帯びた夜桜景観を形作っていました。外国人観光客の歓声が響き渡っていた以前のにぎわいと比べ、2023年の
さくら通りは落ち着いた雰囲気があり、静かな鑑賞の時間が流れていました。
一方、さくら通りの側道には、剪定を免れた数本の大木が残されており、その枝には満開に近い花がまとまって咲き、
夜の暗さの中で大きな淡紅色の塊となって浮かび上がっていました。ボンボリの光を受けた花の色は湿度の高さによって
より深く見え、重厚な存在感を放っていました。通りを歩く人々は、その大木と整えられた若木の対比によって、桜の多様な
姿を一度に感じることができたはずです。
不忍池周辺では、辨天堂を中心とした景観が夜桜とともに柔らかな光に照らされ、池面には桜と灯りが揺らめくように
映り込んでいました。湿度100%という気象条件は、池の水面をより滑らかにし、光の反射を豊かにしていました。
夜の風がそよぐたびに水面がわずかに動き、映し出された桜の姿が揺れ、静かな呼吸をするような光景が続いていました。
2023年の「うえの桜まつり」の時期には、新たにライトアップされた園道が大きな注目を集め、連日多くの来園者が
訪れました。期間中の来場者は約24万人に達し、公園周辺の商店街でも大幅な人流の増加が見られたとされています。
園内の明るさが増し、夜間の安全性も高まったことで、夜桜を楽しむ人々が安心して行き交う姿が見られ、上野恩賜公園に
新たな夜の風景が誕生した日でもありました。
2023年3月26日の夜桜は、気象条件による湿度の高さと曇り空がもたらす独特の空気感の中で、光と桜が溶け合うような
静謐で奥行きのある景観を形作っていたのです。
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