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2023年2月11日に東京都北区赤羽で行われた友人同士によるはしご酒は、赤羽という街が形成してきた大衆的飲酒文化と、 「千ベロの街」としての評価を具体的に示す事例として位置づけることができる。この日は建国記念の日にあたり、 祝日として多くの人々が外出する条件が整っていた。気象状況は、平均気温8.7度、最高気温14.1度、最低気温2.6度で、 冬季としては比較的穏やかな一日であった。平均湿度は61%、最少湿度は37%、平均風速は2.8メートル毎秒で、北西の風が 吹いていた。午前6時から午後6時にかけては晴天が続き、夕方以降は曇りへと移行したが、降水はなく、屋外移動を伴う はしご酒には支障の少ない気象条件であったといえる。 赤羽でのはしご酒の出発点として選ばれた丸健水産は、赤羽の飲食文化を象徴する存在である。同店は60年以上にわたり 赤羽の地で営業を続けてきた老舗であり、本来はおでん種や練り製品を販売する専門店であるが、店先で立ち食い形式の おでんを提供することで知られている。魚を一匹ずつ捌く工程から成型に至るまでを人の手で行う製法は、工業化された 食品とは異なる価値を生み出し、赤羽の大衆酒場文化と強く結びついてきた。こうした背景から、丸健水産は単なる 飲食店ではなく、地域の食文化を体現する拠点として認識されている。 はしご酒という行為は、一軒の店に長時間滞在するのではなく、複数の店を巡りながら、その場ごとの雰囲気や提供される 料理、酒の違いを楽しむ飲酒形態である。赤羽は店舗密集度が高く、徒歩圏内に多様な業態の飲食店が存在するため、 はしご酒に適した都市構造を持つ地域である。特に赤羽駅東口周辺から赤羽一番街商店街にかけては、立ち飲み、 大衆酒場、居酒屋が連続的に立地しており、短時間で次の店へ移動できる点が特徴である。 丸健水産がはしご酒の起点として選ばれる理由の一つに、朝から営業している点が挙げられる。午前10時30分頃から店を 開ける同店は、昼飲みや早い時間帯からの飲酒文化を受け入れてきた赤羽の特性を象徴している。また、比較的少量の 飲食で区切りをつけやすい立ち食い形式は、次の店へ移動するはしご酒の流れとも相性が良い。おでんと酒を組み合わせた 簡潔な構成は、最初の一軒目として全体のペースを整える役割を果たす。 2023年2月11日のような冬の晴れた祝日は、日中から人出が見込まれ、赤羽の飲み屋街にも幅広い年代の来訪者が集まる 傾向がある。近年、赤羽が千ベロの街として注目を集める背景には、2000年代以降に安価で質の高い飲食を提供する店が 増えたこと、さらに家賃水準の低さから若年層や学生が居住しやすい環境が形成されたことがある。これにより、赤羽の 飲酒文化は中高年層だけでなく、若い世代にも共有され、はしご酒のようなカジュアルな飲み方が定着していった。 この日のはしご酒は、丸健水産を起点として、赤羽という街が持つ歴史性、大衆性、回遊性を順に体験していく 構成であったと整理できる。個々の参加者の感情や体験を離れて見た場合でも、老舗の練り物店を出発点とする点は、 赤羽の戦後から続く飲食文化の延長線上に位置づけられる。晴天で比較的温暖な冬の祝日という条件のもと、徒歩移動を 前提としたはしご酒が成立したことは、赤羽という都市空間が持つ機能性と、千ベロ文化の成熟度を示す一例であると 評価できる。


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