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2019年8月24日の夕方、市場前駅から新橋駅へ向かうゆりかもめの旅は、東京湾岸エリアの発展と美しい都市景観を 一度に楽しめる特別な鉄道体験です。この日の東京都心は平均気温27.3度、最高気温31.4度、最低気温24.0度を記録し、 平均湿度79%という蒸し暑い一日でした。日中は曇り空が中心でしたが、一時的に晴れ間も見られ、夕方になると 南東からの穏やかな風が東京湾を吹き抜けていました。18時以降は曇りのち雨の予報となっており、空には次第に 厚い雲が広がり始めていました。 旅の出発点である市場前駅は、豊洲市場の玄関口として知られています。かつて築地市場が担っていた役割を 受け継ぐ巨大市場の最寄り駅であり、駅前には近代的な市場施設が整然と並んでいます。夕方の時間帯になると、 市場関係者の姿は少なくなりますが、観光客や買い物客が行き交い、豊洲らしい活気を感じることができます。 市場前駅を発車したゆりかもめは、高架軌道の上を静かに走り出します。運転士のいない自動運転システムによって 運行されるため、先頭席からの眺望は格別です。まるで自分自身が列車を操縦しているかのような感覚で、東京湾岸の 景色が次々と目の前に広がっていきます。 新豊洲駅を過ぎると、大規模マンション群や再開発が進む豊洲エリアが見えてきます。整備された街並みは 近未来都市を思わせ、東京の新しい居住エリアとして発展を続けている様子が車窓からもよく分かります。その後、 有明テニスの森駅や有明駅付近では、広大な競技施設やイベント施設が目に入ります。東京ビッグサイト周辺には 特徴的な逆三角形の建物がそびえ立ち、日本最大級の展示会場としての存在感を放っています。 やがて列車は東京湾に近づき、お台場エリアへ向かいます。高層ビル群の間から見える海面は曇り空を映して落ち着いた 色合いを見せていますが、その静かな景観がかえって都会的な美しさを際立たせています。東京湾を行き交う船舶や 遠くの埠頭施設も見え、港湾都市東京の表情を感じることができます。 市場前方面から新橋へ向かう列車に乗ると、レインボーブリッジへ進入する直前に特徴的なネット状の覆いに囲まれた 区間を通過します。この構造物は、かつて軌道の下に存在していたゴルフ練習場「東京スポーツクラブ」から 飛来するゴルフボールを防ぐために設置されたものでした。当時は安全対策として重要な設備でしたが、現在では ゴルフ練習場そのものがなくなり、当時の名残を伝える構造物として残されています。知らなければ見過ごしてしまう 場所ですが、東京湾岸開発の歴史を物語る興味深い存在です。 その後、ゆりかもめはレインボーブリッジへと進入します。正式名称を東京港連絡橋というこの橋は、1993年に開通した 東京湾の象徴的存在です。橋の下層部分をゆりかもめが走り、上層部分には首都高速道路が通っています。 橋上から見渡す東京湾の景色は圧巻で、夕方の柔らかな光に包まれた海と高層ビル群が壮大なパノラマを描き出します。 橋を渡り終えると、今度はゆりかもめ名物ともいえる巨大ループ線へと入ります。新橋方面へ向かう場合、 このループは下り勾配となります。直径約270メートルにも及ぶ巨大な円形構造物は、レインボーブリッジとの 約30メートルの高低差を安全に解消するために設計されたものです。ゆっくりと旋回しながら高度を下げるため、 車窓の景色が大きく回転するように変化していきます。 ループ区間では東京湾、お台場、高層ビル群、そしてレインボーブリッジそのものを様々な角度から眺めることができます。 特に夕方の時間帯は、ビルの窓に灯りがともり始め、昼景から夜景へと移り変わる東京の表情を楽しめます。 湿度の高い空気によって遠景はやや霞んでいましたが、それがかえって幻想的な雰囲気を生み出していました。 芝浦ふ頭駅を過ぎると、列車は都心部へ近づいていきます。東京タワーが高層ビル群の間から姿を現し、 汐留の超高層オフィス群が迫ってきます。かつて貨物駅が広がっていた汐留地区は再開発によって大きく生まれ変わり、 現在では東京を代表するビジネス街となっています。高架上を走るゆりかもめからは、その街の変貌ぶりを一望する ことができます。 終点の新橋駅に到着すると、そこには日本の鉄道発祥の地としての歴史と、現代の大都市東京の活気が共存しています。 JR各線や東京メトロ、都営地下鉄との乗換客で賑わう駅周辺には、サラリーマンの街として知られる昔ながらの飲食店街と、 汐留の近代的な超高層ビル群が隣り合っています。 市場前から新橋までの約30分間の乗車は、単なる移動手段ではありません。豊洲市場の活気、東京ビッグサイトの壮大な 建築、お台場の海辺の景色、レインボーブリッジから望む東京湾、そして汐留や新橋の都市景観まで、東京の魅力が 凝縮された観光ルートです。2019年8月24日の蒸し暑い夏の夕方、曇り空の下で刻々と表情を変える東京湾岸を眺めながら 走るゆりかもめは、東京観光の中でも特に印象深い体験を提供してくれる存在だったのです。


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