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2010年5月29日の東京は、平均気温15.6度、最高気温17.6度、最低気温14.0度と、5月下旬としては涼しく肌寒さを
覚える一日でした。天候は曇りのち雨で、時折霧雨が降り、空は一日を通して厚い雲に覆われていました。湿度は
平均で67%、最小湿度も57%とやや高めで、空気には少し重さが感じられました。風は平均2.9メートルと穏やかで、
強風に悩まされることはありませんでしたが、日差しが乏しく、観光に訪れる人々には傘や羽織るものが必要となる
気象条件でした。
この日、浅草の中心にある浅草寺は多くの参拝客や観光客で賑わっていました。浅草寺は東京都内で最も古い仏教寺院
であり、正式には金龍山浅草寺と号し、本尊は聖観世音菩薩です。628年、隅田川から引き上げられた観音像を祀った
ことに始まると伝えられ、江戸時代以降は庶民の信仰と娯楽の中心地となってきました。雷門をくぐると、境内へと
続く仲見世通りには約90軒もの店が軒を連ね、煎餅や和菓子、工芸品や土産物が並び、下町らしい賑わいを見せています。
江戸時代には参道の清掃を担った住民が営業の特権を与えられたことから発展したとされ、日本で最も古い商店街のひとつと
されています。この日は湿った空気の中でも多くの人が訪れ、和菓子や抹茶風味の菓子を手に歩く姿が見られました。
境内に進むと、特別に秋田県の伝統行事である竿燈の展示が行われていました。竿燈は毎年8月に秋田市で開催される
「秋田竿燈まつり」で用いられるもので、竹竿に多数の提灯を吊るし、稲穂や米俵に見立てて豊作を祈願する行事です。
重要無形民俗文化財にも指定され、東北三大祭りのひとつとして知られています。この日浅草寺で披露された竿燈には、
町ごとに異なる紋や意匠が施された提灯が並び、兎の餅つきや牡丹の図柄など縁起の良い絵柄が彩りを添えていました。
提灯には雨に強いよう油が塗られており、内部には火が消えやすい工夫も施されるなど、職人の技が息づいていました。
夕刻には雨脚が強まったものの、昼の境内では竿燈が立ち並ぶ光景が訪れる人々の注目を集め、浅草の歴史的空間と
秋田の伝統が一堂に会する場となっていました。
浅草寺から隅田川方面へ目を向けると、建設途中の東京スカイツリーが姿を現していました。2010年5月29日時点で
その高さは389メートルに達しており、すでに周囲の景観を圧倒する存在となっていました。最終的には高さ634メートルに
至る計画であったため、この時期は成長途中の姿を観察できる特別な時期でした。曇天の下、灰色の空に溶け込むように
そびえ立つ鉄骨の構造体は、未来的でありながらも建設用クレーンや足場が残ることで未完成ならではの迫力を見せて
いました。浅草寺の伝統的な伽藍や仲見世のにぎわいと、現代の巨大建築が同時に視界に収まることで、過去と未来が
交差する都市の姿が浮かび上がっていました。
この日の浅草散策は、やや不安定な天候にありながらも、東京最古の寺院である浅草寺の歴史に触れ、東北の竿燈文化を
垣間見、さらに新時代を象徴するスカイツリーの建設風景を目にすることができる貴重な機会となっていました。
江戸以来の下町情緒と地方の伝統文化、そして未来へと伸びゆく都市開発が一体となって感じられる時間であり、
2010年5月29日の浅草は特別な光景を形作っていたのです。
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