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2016年7月23日、東京都足立区の荒川河川敷で「第38回足立の花火」が開催されました。東京の夏を代表する花火大会 のひとつとして知られるこの催しは、都内でも特に早い時期に行われることで有名であり、毎年、夏本番の到来を告げる 風物詩として多くの人々に親しまれています。隅田川花火大会より一足早く開催されることから、「東京の花火シーズンの幕開け」 として注目される存在でもあります。この年も約63万人もの観客が会場を訪れ、荒川の夜空を彩る約13,500発の花火を堪能しました。 会場となったのは、東京メトロ千代田線鉄橋から西新井橋までの荒川放水路河川敷です。広々とした河川敷に観覧エリアが 設けられ、千住側の右岸や対岸の左岸から、多くの来場者が花火を見上げていました。北千住駅から会場へ向かう道は、 夕方になるにつれて浴衣姿の人々で埋め尽くされ、夏祭りらしい華やかな雰囲気に包まれていました。駅前の商店街や飲食店も 活気にあふれ、花火大会の日ならではの賑わいを見せていました。 2016年大会のテーマは、「みんなでつくる『足立の花火』」です。このテーマのもと、来場者参加型の企画が数多く実施され、 従来の観覧型イベントとは一味違う一体感のある大会となりました。特に大きな話題を集めたのが、「みんなの『いいね!』で 音楽花火」という企画です。前年は候補曲の中から投票する形式でしたが、この年はジャンルを問わず自由にリクエストを 募集する方式へと変更されました。その結果、多くの支持を集めたAKB48の「365日の紙飛行機」が選ばれ、オープニングを 飾る音楽花火として使用されました。 大会開始直後、軽快なメロディーとともに色鮮やかな花火が次々と打ち上げられると、会場からは大きな歓声が上がりました。 音楽のリズムに合わせて花火が開花する演出は迫力に満ち、夜空全体が巨大なステージのように感じられるほどでした。 わずか60分という短時間の中で約13,500発を打ち上げる高密度な構成も、足立の花火ならではの魅力です。3か所の打ち上げ 地点から絶え間なく花火が上がるため、観客は休む暇もなく次々と現れる光景に見入っていました。 また、この年は来場者から「花火の思い出エピソード」と楽曲を募集する企画も実施されました。最優秀作品には、 親子の絆を描いた心温まるエピソードが選ばれ、その紹介とともにスタジオジブリ映画『となりのトトロ』のオープニングテーマ 「さんぽ」が流されました。親しみのある楽曲と柔らかな色彩の花火が夜空に広がると、会場全体が穏やかで優しい空気に包まれ、 観客の表情にも自然と笑みが浮かんでいました。 さらに2016年大会では、エンターテインメント企業エイベックスとの初めてのコラボレーションが実現しました。会場では 5万本ものサイリウムが配布され、観客が音楽に合わせて光る腕輪を振る演出が導入されました。色とりどりの光が河川敷一帯を 埋め尽くし、花火と音楽、そして観客の動きが一体となる幻想的な空間が生み出されました。従来の花火鑑賞とは異なるライブ 感覚の演出は、多くの若い世代にも新鮮な印象を与え、「参加する花火大会」としての新たな魅力を感じさせました。 もちろん、長年愛されてきた伝統的な名物花火も健在でした。中でも大きな見どころとなったのが、ゆずの「栄光の架け橋」 に合わせて打ち上げられた特大ナイアガラです。幅300メートル、高さ30メートルにも及ぶ巨大な光の滝が点火されると、 黄金色の火花が滝のように流れ落ち、観客席からは大きな歓声と拍手が巻き起こりました。荒川河川敷を横断するかのような 壮大な演出は、まさに足立の花火を象徴する名場面でした。 フィナーレでは、エルガー作曲の「威風堂々」に合わせて、「黄金のしだれ桜」と呼ばれる大規模な花火演出が行われました。 金色の大輪が幾重にも重なりながら夜空いっぱいに広がる様子は圧巻であり、会場全体がまばゆい光に包まれました。 途切れることなく連続して打ち上がる花火に、多くの観客が最後まで目を奪われ、フィナーレ終了後には大きな拍手が河川敷に 響き渡っていました。 一方で、会場西側では風向きの影響により、花火の煙や灰が大量に降り注ぐ場面も見られました。まるで雪のように灰が舞う様子は、 河川敷ならではの臨場感を感じさせる光景でもありました。大会終了後には、最寄りの北千住駅周辺が帰宅客で大混雑となり、 駅構内では入場規制が行われるほどでした。周辺の居酒屋や飲食店も満席状態が続き、帰宅を待つ人々で駅前は深夜まで賑わいを 見せていました。 当日の東京の気象条件は、平均気温22.4度、最高気温27.1度、最低気温19.8度という比較的過ごしやすいものでした。 平均湿度は70%、平均風速は毎秒2.6メートル、風向きは北北東で、天候は薄曇りでした。真夏としては気温がやや落ち着いており、 強風や雨にも見舞われなかったため、観客にとっては快適に花火を楽しめる夜となりました。空気が比較的安定していたこともあり、 大輪の花火が荒川の夜空に美しく映え、視界いっぱいに広がる鮮やかな光景を堪能することができました。 足立の花火の歴史は古く、その起源は明治時代にまで遡ります。千住大橋の架橋祝賀や、日露戦争の戦勝記念などをきっかけに 花火が打ち上げられた記録が残されており、1924年には千住新橋の完成記念として大規模な花火大会が開催されました。その後、 「千住の花火大会」として親しまれましたが、戦争や河川改修工事の影響により中断を余儀なくされました。しかし1979年、 「足立の花火大会」として復活を遂げ、現在では東京を代表する夏の一大イベントへと成長しています。 2016年の第38回大会は、長年受け継がれてきた伝統を大切にしながらも、音楽やサイリウムを取り入れた新しい演出によって、 現代的なエンターテインメント性を大きく高めた大会でした。観客参加型の企画を通じて、人々が単に鑑賞するだけでなく、 一緒に花火大会を作り上げる感覚を共有できたことも、この年ならではの特徴です。夏の始まりを告げる華やかな夜として、 多くの人々の記憶に残る特別な一日となりました。


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