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2019年9月28日、曇り空の下、東京都北区荒川河川敷にて開催された「北区花火会」は、秋の訪れを告げる風物詩として
多くの観客を魅了した。気温は24.1度、湿度75%、風速2.7m/sと、やや蒸し暑さを感じるものの、風は穏やかで花火の煙を
流すには好条件であった。南南西の風が吹く中、赤羽岩淵水門周辺には早くから人々が集まり、河川敷は夕暮れとともに
熱気を帯びていった。
この年の北区花火会は第8回目の開催であり、打ち上げ数は過去最多となる8,888発。赤水門と青水門を背景に、音楽と
シンクロした華やかな演出が展開された。18時30分、開幕を告げるカウントダウンの後、第一幕「グランドオープン」が
始まり、令和元年を祝う華やかなスターマインが夜空を彩った。続く第二幕では、北区ゆかりの人物・渋沢栄一をテーマ
にしたストーリー花火が披露され、観客は歴史と花火が融合する演出に見入った。
第三幕では「北区芸術花火博覧会」と題し、日本煙火芸術協会に所属する花火師たちが個性豊かな作品を競演。昇曲付や
芯入五色染分ダリアなど、技巧を凝らした花火が次々と打ち上がり、観客からは感嘆の声が上がった。第四幕では、
北区赤羽出身のロックバンド・エレファントカシマシの楽曲に合わせた音楽花火が展開され、「俺たちの明日」や
「今宵の月のように」が流れる中、花火がリズムに合わせて咲き誇った。
そしてクライマックスとなる第五幕「グランドフィナーレ」では、米津玄師の「Lemon」や「パプリカ」がBGMとして流れ、
観客の心を優しく包み込んだ。特に「パプリカ」の旋律に合わせて打ち上がる花火は、子どもたちの歓声とともに秋の夜空に
鮮やかな余韻を残した。19時30分、最後の一発が夜空に消えると、観客からは惜しみない拍手が送られ、「また来年もここで」
と語り合う声があちこちで聞かれた。
この年の北区花火会は、地域住民の手による温かみのある運営と、芸術性の高い演出が見事に融合した、まさに“手作りの
芸術祭”であった。荒川という地域資源を活かし、世代を超えて人々が集い、語らい、共に夜空を見上げる時間は、都市に
暮らす人々にとってかけがえのないひとときとなったのである。
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