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神田祭は、東京都千代田区の神田明神を中心に開催される伝統ある祭礼であり、2015年(平成27年)は特に神田明神遷座400年という
大きな節目の年にあたっていた。この年の神田祭は、5月7日から15日までの8日間にわたって盛大に行われ、神田、日本橋、大手町、
秋葉原といった東京の中心部を舞台に、多くの伝統行事と壮観な行列が展開された。
中でも、5月9日に執り行われた神幸祭は、平安時代の装束をまとった関係者たちが、御祭神を乗せた3基の神輿と鳳輦を先頭に、
約500メートルにおよぶ大行列をなして町中を巡行する華やかな祭礼である。この神幸祭は、氏子108町会を巡る壮大な時代行列を特徴とし、
沿道には多くの見物客が詰めかけた。また、同日に行われた附け祭では、大型のはりぼてや踊り子たちが登場し、数千人規模の賑やかな
練り歩きが行われた。これは江戸時代の「天下祭」を現代に蘇らせたものであり、視覚的にも歴史的にも観客を楽しませる趣向が
凝らされていた。
翌5月10日には、神田明神の境内を目指して、氏子町会から200基を超える町神輿が集結し、宮入を行った。この神輿宮入では、朝から
晩まで絶え間なく神輿が行き交い、担ぎ手たちの威勢のよい掛け声が響き渡った。とくに注目されたのは、女性だけで担がれる
「元祖 女神輿」や、秋葉原駅構内を神輿が巡るという現代ならではの演出であり、古典と現代の調和を象徴する場面であった。
御仮屋と呼ばれる仮設の神輿殿も各町内に設けられ、御神酒所と共に神を迎えるための荘厳な設えが施された。これらは、神を敬う
町人たちの真心を表すものである。
なお、2015年5月9日の東京の天候は平均気温18.7度、最高気温21.3度、湿度75%とやや湿った空気に包まれ、曇り一時雨という
天候であった。行列の進行に影響はなかったものの、観覧者にとっては雨具の準備が必要な一日であった。一方、10日は平均気温19.7度、
最高気温27.0度と気温が上昇し、湿度も43%と快適な気候で、晴れ間が広がる中、神輿の宮入が行われた。天候にも恵まれ、多くの
観客と参加者が祭りの熱気と伝統の継承を体感することができた。
神田祭は、単なる地域の伝統行事を超え、都市文化の中心に根ざした大規模な祝祭である。2015年は遷座400年という重要な節目を迎え、
歴史の重みと現在の東京のダイナミズムが融合した記念すべき年となった。祭礼の根底にあるのは、神に感謝し、人と人との絆を
確認するという日本文化の精神であり、それがこの年も色濃く表れていた。神田祭は今後も、時代の変化と共に進化しながら、
その本質を守り続けるだろう。

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